革の技法紹介

    





ここでは1996年より行ってきました、クラフト学園での講習会作品に関連する技法の紹介になります。クラフト社在籍時代に見聞きしたものを、自分なりの解釈と工夫で実践してきたものです。講習会定員20名という規模での方法のため、目的に応じ別の方法や、より良い可能性もあります。レザークラフト(革細工)を楽しまれる方や技術習得の参考になれば幸いです。

クラムレザークラフト教室

このページの開設予告に貼られていた画像はギャラリー・シェリダンスタイルカービングページに移転し、サムネイルでご覧いただけます。

革のもみ加工

 ’96、’97、’01の講習(講習ページ参照)で行ったように革(ここではタンニンなめしのラティーゴ)をソフトにし、表面にしぼと呼ぶ表情を出すことです。革を折ることで革の繊維をストレッチし、その折山を移動することにより無数の折りしわが入り革も柔軟になります。これを水しぼといい、これに直角に交差する折りしわを入れたものが角しぼといいます。更に斜め交差を加えたものを八方もみといい、角しぼの角が取れるので丸しぼともいいます。この3種のもみ効果をねらった型押し革もあります。水しぼで例をあげるとルイ・ヴィトンのエピが有名です。エピ柄は麦穂のイメージデザインということですがよく似ています。

リオショルダー(右)を八方もみしたもの(左)
ギャラリー手縫い仕立ページのリュックの部分です。そちらで全体像がご覧になれます。
’96講習では立体造形後にその部分を避け、両手で麺をこねるように体重をかけ揉んでいただきました。それ以外は業者に1枚革のもみ加工を依頼してからの裁断です。手もみ業者は下図左のフネまたはキリシメンという道具を右のように使用します。

これは作業台の脚の76mm端材利用の自作のため押える面が狭いですが、専門のはこれの倍以上の巾です。グリップは両面木ネジと木工用ボンドで取り付け、押え面には滑り止めに2mm厚のコルクを貼ります。腕通しは革を鋲止め。「手縫いの真髄」にも紹介されています。
革を柔らかくする他、折りしわが入って商品価値が落ちたクローム革などももみ革にすることで価値を上げることもできます。水やオイルはつけない方がきれいなしぼになります。また繊維のゆるい部位はしぼ目が荒くなります。これは薬剤で縮めてしぼ出しのシュリンクと同様で、エンボス(型押し)の画一しぼに比べ、自然で高級感が違います。

型スキ  

’96、’97のエンボス技法で2.0mm厚以上の革の一部をレリーフ状に膨らますため、その部分を1.0mm厚程度にすきました。1点ものならぺディーで手すきでもOKですが、20枚以上の加工が必要となれば、効率を考えます。
袋物の革すきで職人が使うテクニックとして型スキがあります。ファスナーポケットのくり抜きすきや、ダーツの三角すきに使います。芯材のテキソンやバイリーンの0.6mmをすく形に切り出し、両面テープですきたい場所に貼ります。例えば1.2mm厚革の表面にこれを貼り、革すき機をべたすき(水平すき)1.2mm厚に設定し、このすき間を通すと革自体は素通りし、貼ってある芯材の0.6mm分だけ革裏がすかれ、型分だけ0.6mm厚になります。型は次の使用まで革すき機の近くに貼っておきます。

Aファスナー窓部に貼り付け。

B革厚と同じすき間に通す。

C裏が型通りにすき上がり。

@両面テープを貼ったバイリーン型。


ただこの方法は粘着で革の表面が荒れるため、上記のように折り返して隠れてしまうという条件下で有効です。そこで思いついたのが革と同じサイズのテキソンに型を貼り、革に合わせ持って革すき機を通す方法でした。2.0mmのラティーゴを1.0mmに型スキのため、型は滑りの良い1.0mmのオイルレザーをボンドで貼ります。革と同寸でなくても中心点と1辺を合わせておけば、複数回革すき機を通せます。一度ではすけない面積をずらしてすく事ができます。

テキソンに1.0mmのオイルレザーを接着。              ずれないように革すき機に3回通し。 
’96猫型、ギャラリー立体造形ページのバッファロ         ’97の犬型にすかれたラティーゴ裏。
ースカル型。


以上は革スキ機を使うため一般的ではありませんが、当時と違いすき機もかなり普及してきたように思います。現在のような情報化社会でなかったため、受講された同業の方に本編よりも革すき方法を喜んでいただいたのが印象的でした。


続く
  次はエンボス用凸型です。